娘は日本語、英語、ミャンマー語に囲まれた環境です。とりたてて教育熱心な親なわけではなく、父母それぞれの母国語と、どうしても相対的に不足しがちなミャンマー語でのコミュニケーションの不都合を考えて、親戚間での共通言語としてやっぱり英語は必要という考えからです。かつてイギリス統治下にあっただけあって、ミャンマー人の英語力はだいぶ発達していますし、アメリカに住む娘のいとこは英語しか話せません。

こうした幼児の複数言語の習得について、かえって混乱して言語の発達が遅れるという説があり、私もよくそのことを聞かれます。現在のところ、私の答えとしては、「子供による」ということです。

私の娘は、かなりおしゃべりなので、母国語としての日本語はすでに流暢ですし、英語への切り替えもスムーズです。ほかの子と比べて相対的に発話数が多く、話したい、という欲求が言語の壁を乗り越えているように見えます。つまり、相手が英語しかわからなければ英語で話すことが自然にできるようになってきました。これはインターナショナルスクールで英語しかわからない友達とも遊びたいということが大きなモチベーションになっているのだと思います。(娘が大好きなのは、英語しか話せないインド人のT君です!)

私がイタリア語を好きなことを知っていて、時々これはイタリア語で何ていうの?と聞いてきます。一応答えてはあげますが、さすがに多言語すぎはどうかな??と思い、優先的に身に着けさせたい言葉以外のインプットは控えるようにしています。まあ、彼女の場合、たまたま言葉というものが好きなのでしょう。

パパとは日本語でも英語でもOKです。ミャンマーに行けば、ミャンマー語を駆使しようとしています。単語レベルでいうと、英語しかわからない単語と日本語でしか覚えていない単語があるので、ときどきミックスしていますが、あくまでもボキャブラリーレベルの問題なので、これはやがて語彙が増えるとともに解消されてゆくでしょう。

4歳くらいですと、母国語だけに限っても、言語の発達には大きな個人差があります。実際、まだ上手に話せない子も少なくなく、その場合には子供がきちんと言葉を理解できているのか、まだ確認することさえ難しい場合があります。そういう子の場合、複数言語を学習させていると、そのせいで混乱が生じていると思われることがあるでしょう。

言語学では、母国語の形成期は2歳から12歳ころの間とされ、その時期をクリティカルピリオドとか、センシティブピリオドといいます。たとえ上手に話せなくても、脳に蓄積された言語能力があとで開花してくることもあるでしょうから、まだ観察が必要なのだと思います。本人がおとなしくて人とのコミュニケーションが苦手な性格であるとか、第2言語に触れる機会が極端に少ないために、その学習が負担になっているようであれば、無理させないほうがよいのではないかと思います。つまり、言語だけに限ったことではありませんが、親が子供の関心をよく見極め、タイミングを上手にはかってあげることが重要なのではないでしょうか。

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