有名なバガン遺跡に先んじる重要な遺跡の一つにシュリクシュトラ遺跡があります。
これまで英語の研究報告が少ないためか、外国人には情報が少ない遺跡だったので、前回のミャンマー訪問の際に訪ねてみました。

事前に博物館の知人を通じて見学依頼をしたので、現地で長年発掘調査を続ける考古学者のウィン・チャイさんに遺跡を案内していただくことができました。

ピューの街にほど近いこのシュリクシュトラ遺跡は、タイエーキッタヤ―村の周辺に散在する複数の寺院とパゴダから成り、街を囲むように15キロほどの円形の市壁も現存しています。

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ここ数年、ミャンマー人専門家らが発掘調査を続け、未整理ながら新たな発見が多数あったそうです。前に登場したイタリア人専門家(エーヤワディー川をともに渡ったミラノ工科大教授)が、数年来ワークショップを行って、現地の専門家の育成にも努めているそう。

遺跡内に残るそれぞれのモニュメントはレンガ造で、主に正方形平面に迫り出し式のヴォールト天井がかかるものや、円錐形のパゴダなどがありますが、その様式や構法はさまざまです。

保存状態の良いモニュメントや、

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ドームの推力で崩壊しそうになったというモニュメントを鉄鋼で囲って抑えすぎたようなモニュメントの他、

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私としてはやはり迫り出し式の天井構造がむき出しになった半壊のモニュメントなどに目が釘付けでした。

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また、最近の地震で崩壊したという市壁の一部も見せていただきました。

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この遺跡の建築の概要については、Kyaw Latの'Historical sites before Bagan ("Art and architecture of Bagan pp.14-25, 2010")'や、Elizabeth H. Mooreの"Early Landscape of Myanmar(pp.167-180, 2007)"にまとめられています。

まだまだ詳細の研究はこれからとのことですが、ウィンチャイさんご自身は、日々目で見た経験から、これまでの定説と違う説う学説もお持ちのようです。はやくその成果がまとめられて、できれば英語で出版してほしいものです。

ウィンチャイさんのおかげで、おびただしい数のモニュメントを効率良く見せていただけましたが、もし一人で旅行がてら回ろうとしたら、なかなか難しいと思います。休憩場所もないので、暑さがかなりこたえました。

でも近くのピューの街にはとても素敵なリゾート風のホテルもあり、ゆっくり見学しながら滞在するには良いエリアでしょう。

ちなみに、ピューの街はラーメンのような麺料理が有名で、とてもおいしかったです。

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