イタリアはミラノに住んでいた頃、よく中国人と間違えられました。いえ、正確にはイタリアだけでなく、他の国でもあまり日本人と認識されなかったような記憶があり、いつも不思議に思っていたのです。
通りがかりの同胞と間違えられて中国語呼びかけられたことも、一度や二度ではありませんでした。

顔や丸くて目も丸いからなのか、服装が日本人らしく(きっちり)していないという見かけの問題からなのか。はたまた、一人で行動していることが多く、遠慮がちとは程遠い言動からだったのか・・・。
当時、海外では日本人はお金持ちの旅行客のイメージがあったので、日本人と思われないことは、スリに逢いにくいとか、値段を吹っ掛けられないなどのメリットもありました。

それから何年も経ってから、ミャンマー人と結婚し、ミャンマーに旅をしたり住んだりするようになると、そこでも私は中国人かミャンマー人と間違えられることが多くなりました。しゃべらなければ日本人だと思われないよ、とありがたいのかどうかよくわからないことを言われることさえありました。

外国人料金設定の多いミャンマーですが、中国系の住人は多いので、中国人かミャンマー人に見られると、どこに行っても外国人料金を課されないというメリットがありました。

だから長い間、そうか、私は中国人っぽく見えてラッキー♪くらいに思っていたのです。

ところが、先日、ヤマザキマリさんの本を読んでいて気づいたことがありました。

20年くらい前から北イタリアには中国人がたくさん入ってきていて、多くの企業が表面的には見えなくとも社長は中国人、という状況が静かに進行していたらしいのです。気づくと、イタリア行きの飛行機のファーストクラスはほとんど中国人だったそうで、イタリアと中国の関係は、人材も経済的にも切り離せないものになっていたとのこと。新型コロナウィルスが早くからイタリアで感染拡大したのも、そういった人の流れと無縁ではないだろうというのです。
20年前といえば、私がイタリアに留学していたころです。

そして、中国人の進出といえば、ミャンマーではとっくの昔から有名です。ミャンマーでは町中に、目に見えて中国が根付いています。

つまり、中国人の人口が多いのです。だから私が中国人に見られたのは、その辺を歩いてるビルマ族っぽくない人は、たいがい中国人だったからなのでしょう。

イタリアで中国人に見られたのも、中国人からよく話しかけられたのも、私のルックスのどこが中国人っぽいというより、アジア人が目立つ環境で、多数派のアジア人といえば中国人だったということです。

長年のナゾが解けました。そして改めて中国の圧倒的な存在感にも身をもって気づかされたのでした。

ミャンマー軍の突然のクーデター。
日本や世界の国々が多少の制裁に舵を切ったところで、中国が黙認している限り、何の効果もないのでしょう。



chizu