最近ますます注目を集めるミャンマー。
特に経済界の関心は高く、先日就航したビジネスクラスのみの直行便も満席だという。
そんなニュースを伝える特集の中でのこと。ミャンマー人は親日的であるという紹介に続き、現地特派員が地元ミャンマー人にこんな質問をしていた。
「かつての支配者イギリスに対する現在の印象はいかがですか?」
一瞬間があいたその瞬間、彼は思ったのではないだろうか。
「日本人が聞くことか」
と。
現在の日本では一般的に、ミャンマーというと軍事政権と民主化運動の軋轢の歴史の部分しか知られていない。
こんな質問をしたのは、大戦末期のイギリスと日本とビルマの関係について、日本がビルマの人々に与えた苦しみについて、正しい認識ができていないからではないだろうか。
私が知るミャンマー人たちは、長期にわたって支配をつづけたイギリスに対して、日本ほどの悪い印象はない、という。少なくとも彼らはビルマ人を人間として扱ったというのだ。
敬虔な仏教徒としてのミャンマーの人々は、人を憎んだり、過去を恨んだりすることをしないように、自分たちの心をコントロールするよう、小さいころから学んで育っている。そのおかげで現在日本は、表面的には恨んだり嫌ったりされないで済んでいる。祖父が日本軍に連行されて命を絶った人でさえ、日本に留学していたりする。その理由は、現在のアジアでは一番すぐれた教育の機会を提供してくれるところだからという。教育とは、正しいことを理解できるようになること・・・これがミャンマー人が経済最貧国と言われながらも教育水準が高い理由だ。過去ではなく、あくまでも現在目線で考え、行動しようとする。
そしてこれが、日本人が呑気にも、ミャンマー人は親日的と勘違いしている理由ではないだろうか。別に日本人に対してというわけではなく、誰に対しても最大限の敬意を払って対応しようとするのがミャンマー人なのだが。
その勘違いが、今後、日本企業がミャンマー進出することによって問題となるのではないかと心配している。良くも悪くも、経済的メリットだけで動くことのないミャンマ―人は、何より人と人との信頼関係を重視して動く民族なのである。
安価な労働力と親日だけを狙って進出しても、起こりうる問題は目に見えている。日本人は結局過去と同じことを繰り返し、進歩していないと思われるのがおちである。
日本で研究員としての滞在経験もあるアウン サン スー チー さんが、世界を歴訪する中、日本への訪問が優先順位に入っていないということが、日本とミャンマーの未来をよく物語っている。
中国や欧米に先を越されたと心配する前に、日本はあるべきアプローチの仕方をよく考える必要があるのではないだろうか。同じアジア人として、長い目で対等な人間的付き合いをする姿勢がない限り、ミャンマーにとって世界における日本の存在は諸外国の一つにすぎないのだ。しかも、優先順位の低いままの。
特に経済界の関心は高く、先日就航したビジネスクラスのみの直行便も満席だという。
そんなニュースを伝える特集の中でのこと。ミャンマー人は親日的であるという紹介に続き、現地特派員が地元ミャンマー人にこんな質問をしていた。
「かつての支配者イギリスに対する現在の印象はいかがですか?」
一瞬間があいたその瞬間、彼は思ったのではないだろうか。
「日本人が聞くことか」
と。
現在の日本では一般的に、ミャンマーというと軍事政権と民主化運動の軋轢の歴史の部分しか知られていない。
こんな質問をしたのは、大戦末期のイギリスと日本とビルマの関係について、日本がビルマの人々に与えた苦しみについて、正しい認識ができていないからではないだろうか。
私が知るミャンマー人たちは、長期にわたって支配をつづけたイギリスに対して、日本ほどの悪い印象はない、という。少なくとも彼らはビルマ人を人間として扱ったというのだ。
敬虔な仏教徒としてのミャンマーの人々は、人を憎んだり、過去を恨んだりすることをしないように、自分たちの心をコントロールするよう、小さいころから学んで育っている。そのおかげで現在日本は、表面的には恨んだり嫌ったりされないで済んでいる。祖父が日本軍に連行されて命を絶った人でさえ、日本に留学していたりする。その理由は、現在のアジアでは一番すぐれた教育の機会を提供してくれるところだからという。教育とは、正しいことを理解できるようになること・・・これがミャンマー人が経済最貧国と言われながらも教育水準が高い理由だ。過去ではなく、あくまでも現在目線で考え、行動しようとする。
そしてこれが、日本人が呑気にも、ミャンマー人は親日的と勘違いしている理由ではないだろうか。別に日本人に対してというわけではなく、誰に対しても最大限の敬意を払って対応しようとするのがミャンマー人なのだが。
その勘違いが、今後、日本企業がミャンマー進出することによって問題となるのではないかと心配している。良くも悪くも、経済的メリットだけで動くことのないミャンマ―人は、何より人と人との信頼関係を重視して動く民族なのである。
安価な労働力と親日だけを狙って進出しても、起こりうる問題は目に見えている。日本人は結局過去と同じことを繰り返し、進歩していないと思われるのがおちである。
日本で研究員としての滞在経験もあるアウン サン スー チー さんが、世界を歴訪する中、日本への訪問が優先順位に入っていないということが、日本とミャンマーの未来をよく物語っている。
中国や欧米に先を越されたと心配する前に、日本はあるべきアプローチの仕方をよく考える必要があるのではないだろうか。同じアジア人として、長い目で対等な人間的付き合いをする姿勢がない限り、ミャンマーにとって世界における日本の存在は諸外国の一つにすぎないのだ。しかも、優先順位の低いままの。