ヤンゴンに滞在するとき、必ず泊ってしまうホテルがある。ヤンゴンのカンドジー湖に面するミャンマーの伝統的な木造建築様式のこのホテルは、都市の中にありながら、屈強なチーク材をふんだんに使った建物と、熱帯的な植物に満ちたガーデンが魅力的なリゾートホテルの趣がある。これまでに、経営者が変わったりすると、インテリアやサービスのクオリティが変わったりして、多少がっかりすることもあった。それでも、今回もまた、ついこのホテルを選んでしまった。

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車寄せがあるホテルの正面玄関に到着すると、まず出迎えてくれるのは大きなチーク材を組んだエントランス。茶を帯びた朱色に塗装されたその巨大な木柱列は、まるで鳥居のトンネルへ導かれるようで懐かしささえ感じる。ロビーの奥には高い吹き抜け天井の心地よい空間がひろがり、金に塗装された彫刻や巨大な漆の坪、豪華な伝統家具やインテリアが配置されている。以前は、欧風のファブリックがあしらわれ、よりコロニアルなインテリアだったと記憶しているが、現在の経営者になってからは、よりミャンマー王朝風を意識してのことだろうか、すべてファブリックが赤い色に統一されてしまったのだが、いまいち残念な雰囲気になった。

部屋はゆったりとしたこげ茶とベージュを基調に、木製のインテリアや彫刻が配された落ち着いたリゾート風。湖に面した部屋の窓際には、庭に棲みつくリスが走り回る様子が見られて、子供は大喜びだった。

そして何より私のお気に入りは、湖に面した広い庭。熱帯植物園のような巨大な植物たちの合間に、ところどころウッドデッキや東屋が配置されていて、その時の気分にあわせてお気に入りのスペースが見つかる。

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まず娘と向かったのは、湖に突き出て作られたウッドデッキスペース。緑にかこまれた太鼓橋のようなパーゴラ付きの細い木製の通路を抜けると、その先には6台ほどの深い背もたれのあるデッキチェアが置かれた隠れ家的な空間が。ふと見ると、一番湖側の前のイスに庭係だろうか、従業員の若い男性がくつろいで座っていた。私たちを見るとあわててその場を後にしたけれど。湖をわたる風が吹き抜けるそのスペースは、時を忘れて過ごせる、何しろ心地よい隠れ家なのだ。

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朝食用のレストランの前の庭もすてきだ。レストランには外の席もあるので、私たちは必ずそこで朝食をとる。鳥の声の響く巨大な熱帯植物を見上げながらの朝食は格別。ただし、残り物を狙うカラス達には気をつけなければいけない。見張りを誰か置かないと、ビュッフェに次の皿をとりに行っている間に、テーブルの上はめちゃくちゃにされてしまうのだ。

朝食の後は庭を散歩する。小路の先には様々な庭や池、広いデッキスペースなど、探索の場が尽きない。

こうして庭好きの私は、また次もこのホテルを予約してしまうことだろう。