2011年5月21日(土)に、国士舘大学で開催されたAJフォーラム20 "Preservation of Cultural Heritage in Myanmar"「ミャンマーの文化遺産保存」に参加してきました。講演者は、ミャンマー文化省考古・博物館・図書館局次長を務める女性の方で、民博の研究員として来日中だった方です。
ミャンマーの文化財事情について、それなりの立場の方からの説明を聞けるのはとても珍しい機会です。限られた時間でしたので、概要の紹介でしたが、いくつか印象に残ったことがあります。

まず、新首都ネピドーに新しい博物館を建設中で、文化関係も新政権や新首都といった新しい動きの影響が少なくなさそうだということ。講演者の方に後で聞いたところ、彼女の職場もネピドーに移るかもしれないとのことでした。

そして、パガンがなかなか世界遺産リストに載らない現状の中、政府はむしろ、パガン以前のピュー時代の遺跡群を世界遺産候補として力を入れようという考えがあるらしいことです。観光地としても著名なパガンについては、それなりに研究もありますが、それ以前のものとなると、これまで十分な研究が行われたとは言えません。現存する遺跡の質や量という点で、現実的には難しいのでしょうけれど、個人的には、パガン時代を築く基礎となった前の時代について、その重要性がもっと認識されてもいいのではないかと思っていたのでした。

民主化移行政権がスタートすることによって、文化財政策がどのように動くのか、これはまだわからないようですが、少しでも良いほうに動けばと期待しています。