ビルマ最大の仏教遺跡バガン(バガン遺跡(1)はこちら)は、中部ジャワおよびクメールとならぶ東南アジアの三大仏教遺跡といわれる。しかしバガンには、前二者にはない真正アーチやヴォールト架構などの建築技術に特徴がある。

石やレンガによる組積造の建造物では、窓や出入り口などの上部に架けるアーチ構造には、大まかに分けて、部材を水平にせり出して間隔を狭めてつくる迫り出しアーチと、部材を放射状に積む真正アーチとがある。後者は古代ローマなどの地中海沿岸の巨大遺跡に用いられていたが、南アジアや東南アジアでは迫り出し式が一般的である。

ところが、バガンでは真正アーチに近い技法でつくられ、頂上部が尖った尖頭アーチや、これを水平方向に連続することでつくられるヴォールト架構が数多く残っている。中には、二重に架けられたヴォールトの上下の間に空間をもつ、いわゆる二重殻になっているヴォールトも残されている。

なぜここにだけ、このような技法が用いられたのか。上部の巨大なストゥーパ状の構造物を支えるために、構造上の必要性から地元で編み出されたものなのか・・・?それとも、どこからか伝わったものなのか・・・?海のシルクロードのルートを考えれば、隣接する地域ではみられない技法が、遠方から伝わった可能性もあるのではないか・・・?

組積造建築において、アーチやヴォールト構造は、大変注目されるテーマでもある。ビルマのアーチについて学術的な研究成果が出ているのか、現時点では確認できていないが、これからも注目してぜひ調べてみたい対象である。


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