MYITTAの工房

日々のくらしや手作り、ときどきミャンマー

ビルマ遺跡地図日本の約二倍の面積をもつミャンマーでは、国土のそこここに、多くの遺跡が残っている。その多くは仏教寺院であり、石やれんがで造られた建造物は長い歴史を生き抜いてきた。

古くは9世紀頃に由来する建造物もあり、もっとも有名な遺跡であるバガンには、多い時には数千もの仏塔や寺院などの仏教建築があったといわれ、その規模はきわめて大きい。

しかし、驚くべきことに、この国にはまだユネスコ世界遺産リストに指定された遺産が一つもない。その理由の一つには、この国の文化財の保存理念が、ユネスコが求めるいわゆる世界共通のスタンダードと一致しないことが挙げられる。

彼らにとって仏教寺院は、いまだに生きた心の拠り所である。したがって、過去の姿を保存することではなく、今の自分たちが祈りを捧げ功徳を積むために、たとえそこが貴重な遺跡であっても、人々が皆で金箔を貼ったり、壁を塗ったり、新しい仏塔を建立したりしている。

周辺のアジアの国々からの影響ばかりでなく、イギリス統治時代からの名残りもみられるミャンマー(ビルマ)は、多様な文化の香りをまとっている。

ミャンマー人は自国の民族文化に強い誇りをもち、古くからの伝統を日々の暮らしの中で守っているようだ。


とくに、国民の約90パーセントが敬虔な仏教徒であるこの国では、生活に息づく伝統の多くが仏教と密接にかかわっている。

一日の多くの時間を寺院での祈りに費やすミャンマー人の技術と意識は、見事な仏教建築を生み、仏伝のための彫刻、絵画を花開かせた。

静かに豊かな笑みをたたえる彼らの手仕事はまた、漆器や布に美を与えている。
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世界が狭くなったといわれる昨今でも、いまだ神秘の国ミャンマー(ビルマ)。その文化に目を向けてみると、伝統的な建造物や工芸など、見事な芸術遺産に恵まれています。

ここでは、そんなミャンマー芸術の中から、生活に生きる伝統美−とくに個人的に関心のある布と建築を中心に、その手仕事やデザインの魅力、ミャンマーの素材をつかったハンドメイド、さらに最近の関心事である日本語教育、言語教育などについて紹介してゆきたいと思います。
 

Myittaプロフィール: ミャンマー人の夫と娘の3人暮らし+犬一匹。かつて世界遺産の修復に関わる研究や仕事で20ヶ国以上を訪れる。目下の関心はミャンマーの伝統芸術と語学教育、心地よい空間作り。 著書に『バーミヤーン仏教石窟の建築構造およびその意匠と技法』明石書店(2011年)ほか

'MYITTA'とは、ビルマ語で「普遍的な愛」を意味します。
偶然にも、私とミャンマー人の主人の名前をあわせたときの頭文字であり、娘のビルマ語名でもあります。

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